こんにちは!ナユタス堺東校です😊
今回歌詞を考察するのは、Lavt『未練』。
「未練」という言葉を聞くと、
別れた相手を引きずっていること
過去から抜け出せずにいること
のような、どちらかといえばネガティブなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
ところが、この曲で描かれる「未練」は少し違います。
忘れられない。
寂しい。
後悔も残っている。
それでも最後には、その未練を「宝物」と呼ぶのです。
なぜ忘れられない相手との記憶が、前へ進むための「宝物」になるのでしょうか。
今回は、歌詞の物語を追いながら考察していきます。
「一人旅は不思議と慣れたよ」に感じる、別れた後の時間
貴方は信じないと思うけど
一人旅は不思議と慣れたよ
今はもう隣に居ないけど
温もりは僕の中に残ってる
冒頭から描かれるのは、すでに「貴方」が隣にいない現在です。
特に印象的なのが、
「一人旅は不思議と慣れたよ」
という言葉。
最初は一人でいることが寂しかったのかもしれません。
けれど時間が経ち、主人公は一人で生きる日々にも少しずつ慣れてきた。
つまりこの曲は、別れた直後の物語ではないように感じます。
それでも、
「温もりは僕の中に残ってる」
のです。
相手はいない。
一人にも慣れた。
それなのに、記憶だけは消えていない。
この「もう大丈夫」と「まだ忘れられない」が同時に存在している状態こそ
この曲の“未練”なのではないでしょうか。
幸せだったのは「特別な日」ではなく、何でもない時間
クシャクシャに髪を撫で合って
誰も居ない夜を走り回って
何となく過ぎる時間が幸せだった
ここで思い出されているのは、記念日や旅行のような特別な出来事ではありません。
髪を撫で合ったこと。
二人で夜を走り回ったこと。
そして、
「何となく過ぎる時間」
です。
別れてから本当に恋しくなるのは、案外こういう何でもなかった時間なのかもしれません。
一緒にいるときには、それがずっと続くように思えていた。
だから「幸せな瞬間」として強く意識することさえなかった。
ところが失って初めて、
何でもなかった日常こそ、自分にとって大切な時間だった
と気づく。
この曲の切なさは、大きな出来事ではなく
こうした小さな記憶を丁寧に描いているところにもあります。
「忘れられない」から「忘れたくない」への変化
貴方を忘れられないのは
心が覚えてるから
思い出がずっと静かな燈(あかり)になるだろう
貴方を忘れたくないのは
今の僕があるから
この曲で非常に重要なのが、
「忘れられない」
と
「忘れたくない」
が続けて歌われていることです。
似ていますが、意味は大きく違います。
「忘れられない」は、自分の意思とは関係なく記憶が残っている状態。
一方で「忘れたくない」には、
自分の意思で、その記憶を残しておきたい
という気持ちがあります。
主人公は、ただ過去から抜け出せないのではありません。
貴方と出会ったことによって今の自分がある。
だから、無理に消す必要はない。
失恋から立ち直ることを「相手を完全に忘れること」とするのではなく、
思い出を持ったまま前へ進んでもいい。
そんな考え方が、この曲にはあるように感じます。
「静かな燈」は、もう隣にいない貴方の代わり
思い出がずっと静かな燈になるだろう
この曲を象徴する、とても美しい表現です。
「燈」は、暗闇をすべて消し去るほど強烈な光ではありません。
それでも、暗い場所で進む方向を見失わない程度には、そっと周囲を照らしてくれる。
かつて主人公の隣には「貴方」がいました。
でも今はいない。
その代わりに残った思い出そのものが、これから主人公を照らす燈になるのでしょう。
ここで過去の記憶が、
主人公を苦しめるもの → 主人公を支えるもの
へと少しずつ変化し始めます。
だからこそ、この後に登場する
「未練は宝物になる」
という一見矛盾した言葉につながっていくのではないでしょうか。
「優しいね」の一言が主人公を救っていた
誰かの為に無理をするのが
当たり前で息が詰まって
結び目が解けなくなるくらいに
毎日が酷く絡まっていたんだ
2番では、主人公が「貴方」と出会う前、
あるいは一緒にいた頃に抱えていた苦しさが見えてきます。
周囲のために無理をする。
それが当たり前になり、自分自身が苦しくなっていく。
そんな主人公に対して「貴方」は、
貴方はそれを解くように
「優しいね」と包み込んでくれた
と言います。
主人公が欠点や苦しさとして抱えていた部分を
貴方は「優しさ」として受け止めてくれたのではないでしょうか。
自分では、
「また無理をしてしまった」
と思っていたものを、
「あなたは優しい人なんだね」
と肯定してもらえた。
だから、
気付けば景色は明るく光っていたよ
につながります。
貴方は恋人だっただけではなく、
主人公が自分自身を見る目まで変えてくれた存在だったのかもしれません。
だから簡単には忘れられないのです。
この曲の「未練」は、後悔だけではできていない
この先もずっとこの未練は
宝物になるさ
普通なら、
「いつか未練を断ち切る」
という方向へ物語が進みそうですよね。
しかし、この曲は真逆です。
未練を持ったままでいい。
それどころか、「宝物になる」と言っています。
なぜなら主人公にとっての未練は、
「もう一度付き合いたい」という気持ちだけではないからでしょう。
一緒に過ごした日々。
救ってもらった言葉。
温もり。
幸せだった時間。
そして、その人と出会ったことで変わった自分。
それらすべてが混ざり合ったものを、この曲では「未練」と呼んでいるように感じます。
だから消してしまえば、今の自分を作った大切な一部分まで否定することになってしまう。
未練をなくすのではなく、自分の人生の一部として持っていく。
ここに、この曲ならではの優しさがあります。
「今日も少し無理して前を向く」がとてもリアル
立ち止まってても変わりはしないさ
足跡が途絶えないように
今日も少し無理して前を向く
それくらいが丁度良い
個人的に、この曲の中でも特に印象的なのがこの部分です。
主人公は突然、「もう大丈夫!」とはなりません。
忘れたわけでもない。
傷も後悔も残っている。
それでも、「少し無理して前を向く」のです。
失恋から立ち直る過程は、ある日突然すべてが吹っ切れるものとは限りません。
今日は少し前を向ける。
でも明日はまた思い出す。
それでも次の日には、また歩いてみる。
そんな小さな繰り返しなのかもしれません。
そして、「それくらいが丁度良い」と自分に言い聞かせている。
完全に立ち直っていない自分まで受け入れながら進もうとしているところに、
主人公の変化を感じます。
最後の「今なら笑えるよ」で『未練』の意味が完成する
たまに思い出しても
今なら笑えるよ
曲の最後に置かれているのは、とても短い言葉です。
しかし、ここまでの歌詞を読んでから見ると、この一節の意味は大きく感じられます。
主人公は結局、貴方を忘れていません。
最後まで思い出しています。
それなのに、「今なら笑える」ようになった。
つまり、この曲で描かれている「前へ進む」とは、
忘れることではなかったのでしょう。
最初は思い出すたびに傷ついていた記憶。
それが時間とともに、
寂しさになり、自分を照らす「燈」になり、
最後には「宝物」になる。
相手への気持ちは消えていないのに、気持ちの持ち方が変わっているのです。
だからタイトルは最後まで『未練』のまま。
未練を克服した物語ではなく、
未練と一緒に生きられるようになった物語
なのではないでしょうか。
まとめ|Lavt『未練』は「忘れることだけが前進じゃない」と教えてくれる歌
Lavt『未練』を通して描かれているのは、
単純な「別れた相手を忘れられない」という物語だけではないように感じます。
主人公は貴方との別れによって傷つき、眠れない夜を過ごし、後悔にも苦しみます。
それでも最後に選んだのは、思い出を消すことではありません。
「貴方を忘れられない」から「貴方を忘れたくない」へ。
そして、
「未練」から「宝物」へ。
同じ記憶なのに、時間と主人公の心の変化によって
その意味だけが少しずつ変わっていきます。
特にこの曲で印象的なのは、
「今の僕があるから」
という考え方です。
大切だった人と別れたとしても、その人からもらった言葉や
一緒に過ごした時間までなくなるわけではない。
その経験によって作られた「今の自分」がいる。
だから、無理に忘れなくてもいい。
思い出したときに苦しくなくなるまで、少しずつ前へ進めばいい。
そしていつか、
「たまに思い出しても、今なら笑える」
ようになったとき、かつて自分を苦しめていた「未練」は
人生の大切な「宝物」へ変わっているのかもしれません。
タイトルは『未練』なのに、聴き終わったあとにどこか温かさが残る。
そんな一曲ではないでしょうか。
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